30歳は「作業員」から「技術者」へ変わるラストチャンス
現場に出て数年、あるいは10年近く。
図面を見れば大体の作業手順が頭に浮かび、手元を見なくても結線ができる。後輩への指導も任されるようになり、現場では一人前として扱われている。
もしあなたが今、そんな30歳前後の電気工事士なら、一度立ち止まって考えてみてほしいことがあります。
「40代、50代になっても、今と同じ現場で、同じように体を動かして稼ぎ続けられるだろうか?」
住宅や小規模工事の現場は、数をこなしてなんぼの世界になりがちです。若いうちは体力でカバーできても、年齢とともに体力勝負は厳しくなります。
だからこそ、体力や気力が充実し、基礎スキルも完成している30歳というタイミングが、キャリアの最大の分岐点なのです。
ここで選ぶべき道は、単なる転職ではありません。「作業をこなす作業員」から、「現場全体を俯瞰し、高度な設備を操る技術者」への進化です。
その最適なフィールドこそが、「商業施設」の現場です。なぜ、商業施設の電気工事があなたの市場価値を劇的に高めるのか。その理由を具体的に解説します。
住宅とは「桁」が違う。商業施設だからこそ身につく「特殊設備」のスキル

住宅工事と商業施設工事。同じ電気工事士の資格を使っていても、そこで求められる技術の幅と深さは、まったくの別物と言っても過言ではありません。
最大のメリットは、扱える設備・資材のスケールが圧倒的に広がることです。
住宅メインの場合、どうしても低圧の配線器具や照明器具の取り付けが業務の大半を占めがちです。しかし、商業施設(テナントビル、ショッピングモール、工場など)の現場に飛び込むと、以下のような高単価なスキルが日常的に身につきます。
高圧受電設備(キュービクル)の施工・結線
建物の心臓部とも言える重要設備です。高圧ケーブルの端末処理など、慎重さと専門知識が求められる作業は、経験した人間にしかできない聖域です。
防災設備・自動火災報知設備
多くの人が集まる施設では、法的に厳格な防災設備が求められます。感知器の設置だけでなく、受信機の操作や連動試験など、消防法に基づいた知識が習得できます。
金属管・ラック工事・太物ケーブル
隠蔽配線が主の住宅とは異なり、露出配管の美しさが求められる場面や、幹線ケーブルのような重量物を扱うダイナミックな配線技術が磨かれます。
これらは、一度身につければ「どこに行っても食いっぱぐれない」普遍的な技術です。
スイッチとコンセントなら誰よりも早いというスキルも素晴らしいですが、高圧も弱電も、防災も分かるというマルチな対応力は、あなたの給与ベースを確実に一段階押し上げます。
もはや「配線するだけ」ではない。他職種との連携で養われる「施工管理視点」

商業施設の現場があなたを成長させるもう一つの理由は、複雑な人間関係と調整業務にあります。
木造住宅の現場なら、大工さんと阿吽の呼吸で進められることも多いでしょう。しかし、商業施設やビル建設の現場は、まさに戦場です。
- LGS(軽量鉄骨)工事業者との壁内配線のタイミング調整
- 空調業者との天井裏スペースの奪い合い(納まりの検討)
- 内装業者との器具付けスケジュールのすり合わせ
これら数十人の職人が入り乱れる中で、自分の仕事を完遂しなければなりません。ここでは、単に図面通りに配線する能力以上に、先を読んで段取りをする能力や他業者と交渉して場所を確保するコミュニケーション能力が問われます。
最初は戸惑うかもしれません。しかし、この他職種との連携を経験することで、自然と施工管理(現場監督)に近い視点が養われていきます。
「あそこは来週ダクトが通るから、今日のうちに幹線を逃がしておこう」
「工程表より内装が遅れているから、手待ちにならないように別の階を先に進めよう」
こういった判断ができる職人は、会社にとって代わりの利かない存在(=職長候補)です。将来、独立して一人親方になるにせよ、会社内で幹部を目指すにせよ、商業施設の現場で揉まれた経験は、あなたを現場を回せるリーダーへと成長させてくれるはずです。
天候や景気に左右されにくい? 商業施設工事の「環境面」のメリット
技術ややりがいも大切ですが、長く働き続けるためには労働環境と収入の安定性が欠かせません。この点においても、商業施設の現場には、屋外作業が中心の土木・外構電気工事や、工期が短く件数を詰め込む住宅工事とは違うメリットがあります。
1. 「天候」による中止が少なく、収入が計算できる
住宅の建方(たてかた)や外線工事は、雨や雪で現場がストップしがちです。日給月給制の場合、天候は死活問題でしょう。
一方、商業施設やビル工事は、躯体が立ち上がれば主な作業場所は屋内です。天候に左右されずに稼働できるため、月ごとの給与変動が少なく、家族がいる方でも安心して生活設計が立てられます。
2. 新築だけじゃない。「改修・メンテナンス」の需要が底堅い
「不景気で建設需要が減ったらどうする?」という不安もあるでしょう。しかし、商業施設には定期的な改装(リニューアル)やテナントの入れ替えが必ず発生します。
また、高圧設備や消防設備は、法律で定期点検や更新が義務付けられています。つまり、建物がある限り仕事がなくならないストックビジネスに近い安定性があるのです。
転職で失敗しないために。「伸びる会社」と「使い捨てにする会社」の見極め方

30歳での転職は、20代の頃とは違い失敗のリスクを最小限にしたいはずです。商業施設を手掛ける会社ならどこでも良いわけではありません。あなたを技術者として育て、長く大切にしてくれる会社を見極めるためのチェックポイントを3つお伝えします。
①「資格取得」への投資を惜しまないか?
商業施設の現場では、第一種電気工事士はもちろん、1級電気工事施工管理技士や消防設備士などの資格が威力を発揮します。
面接では必ず「資格取得の支援制度(費用負担や講習参加への配慮)」があるか確認してください。ここへの投資を渋る会社は、社員の成長よりも目先の利益を優先している可能性があります。
② 安全装備や工具にお金をかけているか?
現場見学の機会があれば、職人が使っている道具や安全帯、ユニフォームを見てください。
最新の電動工具が支給されていたり、フルハーネスなどの安全装備が整っていたりする会社は、社員の命と効率を最優先に考えています。ボロボロの道具を使い回している会社は要注意です。
③ 一次請け、もしくは元請けとの関係性が深いか?
建設業界は重層下請け構造です。あまりに商流が深い(3次、4次下請けなど)ポジションだと、工期のしわ寄せを受けやすく、単価も叩かれがちです。主要な取引先はどこか、現場での立ち位置はどこかを質問し、元請け企業と対等に近い関係で仕事をしている会社を選びましょう。
まとめ:今のスキルを「種」にして、より大きなフィールドで花を咲かせよう

30歳。電気工事士としてのキャリアは、まだ折り返し地点にも来ていません。
これまでの住宅工事などで培った、正確に、スピーディーに施工する技術。それは決して無駄にはなりません。むしろ、その基礎があるからこそ、商業施設というより大規模で、より複雑で、より高単価な現場で、あなたの価値は飛躍的に高まります。
「自分にはまだ早いんじゃないか?」「ついていけるだろうか?」そう思う必要はありません。今の環境に少しでも物足りなさや将来への不安を感じているなら、それは次のステージへ進むべき合図です。
まずは一度、私たちの会社へ話を聞きに来ませんか?
面接という堅苦しい場ではなく、どんな現場をやっているのか、給与はどう変わるのか、ざっくばらんにお話ししましょう。
あなたのその経験を、もっと高く評価してくれる場所がここにあります。

